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麻疹

感染力が非常に強いことで知られる麻疹。2023年5月には新幹線車内で感染した事例もニュースになりましたね。

今回は麻疹についてご紹介します。

目次

感染経路

空気感染により感染します。入院させる場合は陰圧による管理が必要です。

診断方法

従来はワンポイントの麻疹IgM抗体(EIA)で陽性を確認するか、その他の抗体測定方法でペア血清による抗体価の陽転化(または有意な増加)によって確定診断とされていました。

しかし、ワンポイントの麻疹IgM(EIA)による診断では偽陽性や偽陰性が問題となり、ペア血清では時間がかかりすぎます。

ということで、現在は最寄りの保健所に報告すると地方衛生研究所で急性期の咽頭ぬぐい液、尿、血液からRT-PCR法やウイルス分離による確定診断が実施されています。

治療

麻疹そのものに対する特異的な治療は存在せず、対症療法が主体となります。

発展途上国ではビタミンAの大量投与を行いますが、日本では行われないことがほとんどです。

合併症

麻疹における重要な合併症は肺炎と脳炎です。麻疹そのものに対する特異的な治療はありませんが、合併症に対しては治療が存在するものもあります。

【麻疹の肺炎とその治療】

①麻疹肺炎 → ステロイドパルス
②巨細胞性肺炎 →T細胞系免疫不全患者で発症。特異的治療法なし。
③2次性細菌性肺炎  →抗菌薬投与

麻疹の脳炎は感染から発症するまでの期間が重要です。

【麻疹の脳炎(発症するまでの期間)とその治療】

①麻疹脳炎(発疹発現から2〜14日で発症) → 特異的治療なし
②亜急性硬化性全脳炎( 麻疹罹患から7〜10年後に発症) → イノシンプラノベクス、インターフェロンαなど
③麻疹封入体脳炎(麻疹罹患から2週間〜10ヶ月後に発症。免疫不全患者に発症。) → 特異的治療なし

練習問題

4日前からの発熱を主訴に受診した生後11ヶ月の男児。下痢、眼脂が2日前から出現し、昨日から体幹、顔面に発疹が出現した。頬粘膜に白色小斑点を認める。3日前からペニシリン系抗菌薬を投与されているが症状の改善はない。適切な処置を2つ選べ。

a. 陰圧隔離する
b. HBsAgを測定する
c. 咽頭ぬぐい、血液、尿を保健所に提出する
d. 大量ガンマグロブリン投与を行う
e. ペニシリン系抗菌薬を継続する

答え:a, c

参考文献

  1. 寺田喜平. 麻疹. 小児内科. 2014, 46, suppl, 946-950.
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