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染色体検査

本記事では染色体検査(Gバンド、FISH、マイクロアレイ)について解説します。

目次

Gバンド

Gバンドは最もポピュラーな染色体検査です。ギムザ染色によって染色された染色体を直接観察する方法です。

Gバンドでは、

  • 染色体の数(トリソミー21、ターナー症候群など)
  • 染色体の構造(転座、欠失、逆位、重複、挿入)

上記2点の異常を知ることができます。

FISH

FISHは染色体上の特定の領域に光る目印(蛍光プローブ)を結合させることで下記の異常を知ることができます。

  • 数的異常(トリソミー21、ターナー症候群など)
  • 微細欠失(22q11.2欠失、Prader-Willi症候群、Angelman症候群など)
  • 由来不明な染色体の確認

21番染色体に結合する光る目印を使えばトリソミー21を、22q11.2部分が欠失している時の配列に結合する光る目印を使えば22q11.2欠失症候群が診断できます。

FISHではGバンドでは検出できないぐらい小さな異常(微細欠失等)を検知することができます。これにより、22q11.2欠失などの微細欠失、Prader-Willi症候群、Angelman症候群などの片親性ダイソミーを診断することが可能です。

FISHでもトリソミー21などの数的異常を検出することはできますが、Gバンドで検査できるため、行われることは少ないでしょう。

マイクロアレイ

マイクロアレイは比較的新しい検査で、次世代シークエンサーとともにこれから臨床応用が進むであろう検査です。

ざっくりですが、染色体を細かいパーツ(マイクロ)にバラバラにして、配列(アレイ)する検査です。

本来配列されるべき場所にパーツがない→欠失、モノソミー
本来配列されるよりパーツが多い→トリソミー、重複
全く同じパーツが2つある→片親性ダイソミー

上記のように、GバンドやFISHで検出できる異常はマイクロアレイだけで検出することができます。

マイクロアレイは先天性多発奇形、発達遅滞などにおいて、臨床症状からは鑑別疾患候補を挙げることができない場合に行う検査です。

トリソミー21や22q11.2欠失症候群など、GバンドやFISHで診断できる疾患は適応となりません。

使い分け

Gバンド、マイクロアレイではスクリーニングとして検査することができますが、FISHでは疾患特異的なプローブを使用するため、スクリーニングとしては使えません。身体所見、その他データから疑わしい疾患を想定して確定診断に用いる検査です。

練習問題

FISHで診断できない疾患を1つ選べ

a. 22q.11.2欠失症候群
b. 筋強直性ジストロフィー
c. Prader-Willi症候群
d. ターナー症候群
e. Robertson転座によるトリソミー21

答え:b

筋強直性ジストロフィーはトリプレットリピート病です。19番染色体におけるCTGのリピートを確認する必要があるのでサザンブロット、repeat-primed PCRによって診断します。

参考文献

  1. 水口雅, 他. 小児臨床検査ガイド. 第2版, 文光堂, 2017, 697.
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